ウイメンズクリニック南麻布

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婦人科の主な症状

婦人科の特徴的な症状は、分泌物=おりもの(出血以外)、出血、痛み、腫瘍(腫瘤)=でき物の4つです。これに無症状を加えると婦人科の症状(signs)は5つのグループに分類されます。

おりもの(帯下)

1) ヨーグルトの様な白いおりもの:このおりものは良いおりものです。膣を守る兵隊で大切な乳酸菌(Lactobacillus)です。この乳酸菌のお陰で膣内が酸性(pH=4)になり清潔に保てます。乳酸菌がいない場合は異常です。

2) 白色、チーズ状、酒粕状、のおりもの:カビの一種でCandidaです。抗生物質の服用、睡眠不足、過労による免疫の低下、膣内に水や風呂の湯(中性=pH=7)が入る, カンジダに感染している男性との性行等が原因です。

3) 水っぽいおりもの(水様性帯下):時にはまるで尿が出たような感じの場合もあります。このおりものは要注意、放置不可です。子宮頚部の炎症か、頚部を刺激するような腫瘍が頚部付近にある場合に出てきます。頚部の炎症では、クラミジア、淋病による子宮頚管炎。おりものは増えたり、減ったりします。頚部を刺激する腫瘍は、筋腫分娩です。筋腫分娩では、水様性帯下がへることは無く、むしろ増え続けます。出血や出血による貧血も伴います。また、子宮内膜癌、卵管癌でも水様性帯下が出ることがあります。これも徐々に増えていきます。また、粘液性の帯下が増える場合の疾患、良性のLEGH, 悪性度の高い子宮頚部腺癌でも水様性の帯下が増える場合もあります。いずれにしても、水っぽいおりもの(水様性帯下)が出る場合、様子をみてはいけません。必ず婦人科受診が必要です。しかも出来れば、腫瘍専門医を受診すると間違いないです。

4) 透明な粘張性の(粘りがある)おりもの:排卵の時期に3日前後出ます。3日前後でなくなれば排卵のおりもので正常です。排卵時期に出ない方が異常です。排卵とは無関係に粘張性のおりものが持続する場合は、子宮頚部の腺(頚管腺)が過剰に増殖している状態、良性のLEGH, 悪性度の高子宮頚部腺癌、子宮頚部胃型粘液性腺癌、子宮頚部悪性腺腫等が考えられます。

5) 黄色、緑色、膿性黄白色で腐ったような悪臭、外陰部の悪臭:ウレアプラズマ、Gardnellera等の細菌性膣症、淋菌、トリコモナス膣炎

6) クリーム状、泡立ちのあるおりもの:強烈な痒みがある場合トリコモナス(性病)です。要治療、完治します。

 

出血

腫瘍(癌、良性のポリープ)、炎症 (クラミジア、淋病など)、ホルモン異常の3つの可能性があります。

痛み

どこか痛い場合、原因は腫瘍 (良性でも悪性でも起こりえる)か、炎症です。腫瘍では、圧倒的に卵巣の良性腫瘍が多いです。特に腫瘍の中身が肉質の場合(奇形腫、線維腫、莢膜細胞腫など)、卵巣が捻転して(ねじれて)かなり強い痛みが生ずる事(救急車依頼必要)もあります。中身が液体(漿液性、粘液性)の嚢腫(嚢胞)では、捻転しても、我慢出来ないほどの痛みは生じません。中身が血液の卵巣子宮内膜症(チョコレート嚢腫)は、周囲と癒着することが多く、捻転することは極めて希です(先ずありません)。卵巣腫瘍が悪性(卵巣癌)の場合、周囲に浸潤、癒着することが多く、捻転しにくく、痛みというより「張った感じ」「膨満感」の方が多いです。子宮自体が痛むことは希です。子宮筋腫(特に漿膜下筋腫)でも捻転して痛みを生ずることがありますが、卵巣嚢腫(奇形腫)の捻転のような強い痛みは生じません。
炎症で多いのは、クラミジアです。痛みの特徴として、腹腔内のリンパの流れから、主に右下腹部が痛くなることが多いです。また、痛みの部位もピンポイントで「ここが痛い」ということはなく、特定されず、痛みの位置が移動することもあります。また、痛みは疲れた時に出てくることが多く、無治療でも十分に休息をとると軽減、消失することもあります(治癒はしていません)。また特徴として、断続的な水っぽいおりもの(水様性帯下)や不正出血です。クラミジア感染では、肝臓の周囲に膿を形成すると入院治療を要する場合もあります (Fitz-HughCurtis Syndromeフィッツ・ヒュー・カーティス症候群).

腫瘍(腫瘤) = でき物

でき物は外陰部や膣の入り口にも出来ます。小さなものでは、コンジローマ(無症状)、ヘルペス(痛みを伴い、腫瘤というより潰瘍のような湿疹)、細菌感染による膿瘍(膿の塊)等。悪性では閉経以降に多い外陰癌。初期症状は痒みです。体内の腫瘤(腫瘍)で触れるものは、子宮筋腫、子宮肉腫、卵巣腫瘍です。因みに、卵巣腫瘍、子宮筋腫は触れない事の方が多いです。

無症状

実はこれが一番怖いかもしれません。婦人科の癌 (子宮頸癌、子宮内膜癌、膣癌、卵巣癌、卵管癌、腹膜癌等)、いずれも進行癌の状態でもI―II期では無症状の場合が多いです。進行して初めて不正出血(頸癌、内膜癌、卵管癌、膣癌、外陰癌)、水様性帯下 (卵管癌、内膜癌)、粘液性帯下 (頸部腺癌)、腹部膨満(卵巣、卵管、腹膜癌)等の症状が出現します。進行癌の状態では、手術に加えて抗癌剤治療も必要になり、治癒率も100%ではなくなるので、やはり年に一度は正確な定期検診が大切です。